はじめに
こんにちは、税理士の桜井晃規です。
個人開業医の先生にとって、節税対策は経営を安定させるうえで非常に重要なテーマです。
「顧問税理士に任せてはいるけれど、もっとできることがあるのでは?」
「毎年の納税額が重く感じる…」
そんなお悩みは、秋田県・青森県でも多くの先生から寄せられています。
この記事では、医療機関に特化した税理士の視点から、個人開業医の方が“今すぐ”実践できる節税アイデアを6つに厳選してご紹介します。
制度を正しく活用し、納税負担を抑えながら、経営と生活のゆとりを確保していきましょう。
1. 家族への専従者給与支給による所得分散
個人開業医が同居する家族に対して給与を支給することで、所得分散による節税効果が期待できます。
対象となる家族は、「生計を一にする配偶者・親・子」などで、一定の勤務実態と事前の届出(青色専従者給与届出書)が必要です。
給与額は以下を参考に、実態に即して決定する必要があります。
- 資格(医師・看護師・事務経験 等)の有無
- 勤務内容(受付、経理、レセプト作成 等)
- 勤務日数・時間(週何日、1日何時間か)
なお、勤務実態が不十分な場合には、税務調査で経費否認されるリスクがあるため、税理士と事前に打ち合わせをして適正に設計しましょう。
2. 各種共済制度の加入による節税
(小規模企業共済・倒産防止共済・iDeCo・国民年金基金)
共済制度の活用は、「将来の備え+今の節税」を両立できる優れた方法です。
- 小規模企業共済:個人事業主向けの退職金制度。掛金は月7万円まで全額所得控除。解約時の受取金は「退職所得扱い」。
- 経営セーフティ共済(倒産防止共済):取引先の倒産に備える制度。掛金は月20万円・年240万円まで全額経費。40ヶ月以上で100%返戻。
- iDeCo(個人型確定拠出年金):掛金全額が所得控除。運用型で将来年金を形成。
- 国民年金基金:定額の年金受取型。iDeCoとは選択制。
特に課税所得の多い開業医にとっては、控除額のインパクトが大きく、制度活用の効果が顕著に現れます。
3. 出張旅費の計上と従業員日当の支給
学会・講習会などの出張に伴う交通費・宿泊費・参加費は、事業に必要な支出として経費計上が可能です。
また、従業員を出張させる場合は、事前に旅費規程を作成しておくことで、日当(非課税)を支給可能になります。
なお、個人開業医自身への「日当」は認められていないため、旅費は実費で処理する必要があります。
出張の実態を証明するために、パンフレットや参加証などの保存も重要です。
4. 償却資産の購入による利益圧縮(医療機器・車両・備品)
医療機器や業務用車両、備品等の設備投資は、償却によって経費として計上され、所得圧縮に直結します。
とくに利益が大きく出た年度には、以下の制度を活用することで節税効果が高まります。
- 減価償却(通常の償却):高額機器や車両などは耐用年数に応じて毎年償却
- 少額資産の即時償却(10万円未満):購入年度に一括償却
- 青色申告特例(30万円未満資産の一括償却):年間300万円まで即時償却可
⇒特に年末に設備購入を前倒しすることで、当期の節税対策として有効です。
上記の設備投資については、将来的なキャッシュフローも見据えて無理のない投資判断が必要です。
5. ふるさと納税の活用|2,000円負担で返礼品と控除を得る
ふるさと納税は、所得税・住民税の控除を受けながら、全国の自治体に寄附し、地域の特産品などの返礼品を実質2,000円の自己負担で受け取れる制度です。
たとえば、控除限度額が100万円の方が上限までふるさと納税を行えば、30万円相当以上の返礼品を受け取りつつ、実質の自己負担はわずか2,000円となります。
ポイント:
• 控除限度額を超えると自己負担が増えるため、事前に税理士によるシミュレーションが必須
医業とは直接関係しませんが、ご家族の生活満足度も高まる、非常に“使い勝手のよい節税制度”です。
6. 概算経費の特例(簡便な経費計上による節税)
概算経費の特例とは、社会保険診療報酬が5,000万円以下の個人開業医が対象となる制度で、実際の支出にかかわらず、一定の算式に基づく金額を「経費」として計上できる特例です。
この制度を使えば、帳簿や領収書を細かく保管していなくても、一定額の必要経費が認められるため、簡易な申告で節税ができる一方で、実額経費との比較が重要になります。
自身の経費の状況や所得水準に応じて、どちらが有利かは、ぜひ税理士と相談のうえ判断しましょう。
まとめ|「いますぐできる節税」は仕組みの活用から始まる
節税とは、特別な裏技ではなく、制度を正しく理解し、計画的に実行することが何より大切です。
特に個人開業医は、所得がそのまま課税対象になるため、制度の活用次第で大きな差が生まれます。
• 「制度を知らずに使っていなかった」
• 「税理士に任せっぱなしだった」
そんな方も、今日から始められる取り組みはきっと見つかります。
ぜひ一歩を踏み出して、ご自身の経営と資産を“守る仕組み”を整えていきましょう。
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税理士の桜井晃規(さくらいあきのり)と申します。
静岡県富士宮市出身で、幼い頃から富士山を間近に過ごしてきました。
秋田県は、妻に出会うまで縁もゆかりもない土地でしたが、今では移住して本当に良かったと思っております。
現在、妻と共に、家業の税理士事務所の経営に携わっております。