1. はじめに:事業承継を支える秋田県の制度
こんにちは。税理士の桜井晃規です。
高齢化が進む中、医療機関を含む地域経済を支える事業者の事業承継は急務となっています。
秋田県では、こうした課題に対応するため、「新事業展開資金(事業承継資金)」という制度を設け、資金面からの支援を行っています。この制度は中小企業者を対象としていますが、一定の条件を満たせば医療機関の承継にも適用可能です。
2. 制度の概要と対象者
「新事業展開資金(事業承継資金)」は、事業承継を支援する融資制度です。
- 対象:秋田県内に事業所を有する中小企業者(法人・個人問わず)
- 商工会・商工会議所の推薦、または秋田県知事の認定を受けた者
- 医療機関の承継については、承継側が法人であることが要件とされています。
特に、クリニックを承継する場合には、承継側が医療法人でなければ適用できません。
対象になるかどうかについては、事前に県や金融機関への確認が重要です。
3. 融資条件(2025年7月時点)
項目 | 内容 |
融資限度額 | 最大1億円(県知事認定があれば2億円まで) |
資金使途 | 設備資金・運転資金 |
返済期間 | 最長10年(据置最大3年) |
利率(年) | 原則1.45%(条件により1.25%) |
担保・保証人 | 必要に応じて/経営者保証免除枠あり |
保証料 | 0%(信用保証協会の保証付きだが保証料無料) |
最新の要件は下記の県公式サイトにてご確認ください。
【美の国あきたネット 新事業展開資金(事業承継資金)】
https://www.pref.akita.lg.jp/pages/archive/578
4. 制度のメリット
- 最大3年間の据置期間が設定されており、承継後の資金繰りに非常に有利
- 信用保証協会付きの融資でありながら、保証料がかからない
- 低利の金利設定により、返済負担が軽減される
5. 利用までの流れ
- 融資を受ける予定の金融機関へ相談(制度の概要確認と事前審査)
- 商工会・商工会議所へ相談(推薦が必要)
- 必要に応じて秋田県知事認定の取得
- 事業計画書等の申請書類の作成(税理士・専門家の支援を活用)
- 金融機関を通じて融資申し込み
- 信用保証協会の保証を経て融資実行
※ 実務上は、金融機関が一括して調整・対応してくれるケースが多く、申請者の負担は比較的軽減されます。
事業計画書の作成も必要となるため、税理士などの専門家に依頼するのがベストです。
6. 実務上の注意点
- 補助金ではなくあくまで融資であり、将来的には返済が必要となる
- 金融機関の審査が必要となるため、現実的な事業計画の作成が必要
- 事業譲渡代金の早期確定や、機器更新などの見積もり取得、必要な運転資金の把握など、必要資金総額(=借入予定額)を把握するための早期の対応がカギ
- 医療業種の場合は、承継側が法人(医療法人や株式会社等)であることが前提となる点に注意
7. 実例紹介:株式会社が個人事業の調剤薬局を承継
当事務所の支援先で、新事業展開資金(事業承継資金)を活用して、後継者の方が株式会社を新規設立し、個人事業の調剤薬局を承継したケースがあります。
事業譲渡に伴い設備投資および運転資金が必要となる場面で、本制度を活用することで、資金繰りの安定と円滑な承継が実現されました。
このように、医療関連業種であっても法人が承継者となる場合には、本制度の活用が現実的な選択肢となり得ます。
8. まとめ:事業承継を資金面で支援する良制度
「新事業展開資金(事業承継資金)」は、医療機関の承継においても条件を満たせば活用可能な支援制度です。制度の存在を知らずに承継のタイミングを逃してしまう前に、早期の情報収集と計画立案がカギとなります。
本制度に関しては、当事務所でも支援実績があります。通常の創業融資に比べ、有利な条件で融資が受けられる良制度だと感じています。
承継後の安定経営を目指すために、ぜひ本制度の活用をご検討ください。
当事務所では、秋田・青森の医療機関様を中心に、事業承継のサポートを行っております。
「第三者から事業承継を検討しているけど、この制度の対象になるの?」
「事業承継の財務デューデリジェンスや承継後の事業計画作成を手伝ってほしい。」
そのようなご質問・ご要望があれば、ぜひお気軽にご相談ください。
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税理士の桜井晃規(さくらいあきのり)と申します。
静岡県富士宮市出身で、幼い頃から富士山を間近に過ごしてきました。
秋田県は、妻に出会うまで縁もゆかりもない土地でしたが、今では移住して本当に良かったと思っております。
現在、妻と共に、家業の税理士事務所の経営に携わっております。